寿命を延ばすタンパク質?

さて、サイエンス関連の面白いニュースだがこれだ。
http://www.asahi.com/life/update/0826/004.html
自分はこういう表題を見ると腹が立つ。寿命を延ばすタンパク質だの遺伝子だのはあるわけ
なく、色々な現象に関わった結果、最終的に長い寿命に有利になるようなことをしているわけにすぎない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050826-00000010-kyodo-soci
上記の記事によると、この責任著者である黒尾助教授は「不老長寿の薬を作ることも原理的
には可能と言える」などと、こういう発言は素人騙しの飛躍にすぎない。
ニュースとしても、もっと客観的な正確な情報を書いて貰いたいと思う。


さて、この仕事、大阪大のグループも関わっているし、糖尿病が絡んでいると聞いて「!!」と、
思ったのだが、案の定、下村伊一郎教授が入っている。
先の阪大医学部データ捏造事件で責任著者だった教授だ。
以下、自分のブログにも5/20と5/28に書いている。
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20050520
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20050528
その後、最終的な報告書に注目しているのだが、まだ出ていない。
この事件の責任や、国民の税金が使われた事に対する処分など、まだ結論が公表されていないのだ。
その中心人物の名前がこうも平然と、その後の論文に出てくるとは呆れてしまう。
本来なら自分の名前は掲載辞退などすべきではないか。
第一著者(ファストオーサー;論文の一番始めに名前が出る人で、仕事に最も深く関わった人)の
正直な気持ちとしては下村の名前は入れたくなかっただろう。


さらに、この寿命が20%−30%延びたという結果をみて、「おいおいこの論文は大丈夫
なのか」と思ってしまう。ここのところは自分が職業病なのかもしれないが、20−30%
程度の差など、データの取り方や、統計処理によっていくらでも変えられる範囲だ。
本当に再現性があるのか、本来こういう事を検証する機関があっても良いのではとさえ思う。


この結果を元に、多くの研究グループがさらに次の仮説に挑むわけだ。あとから、この結果
が実は明確ではありませんでした、では許されないのだ。
そこのところが本当に大丈夫なのか・・・。
もちろん、この論文は間違えなく再現性があるものであると信じたい。


http://www.sciencemag.org/sciencexpress/recent.shtml
この8月25日分の上から3番目の論文である。
職場ではAbstract(概要)だけは読めるようになっている。
一般の人はこの目次のページしか見ることができないようだ。


前回、24日のブログで大学教授が実名で出しているブログの話をしたが、有名どころで、
京都大学の柳田先生の「柳田充弘の休憩時間」がある。
http://mitsuhiro.exblog.jp/
どうもやはり実名で続けるのは厳しいようで、やり方を変えるようなことを述べている。
でも、こういう内容をあからさまに記述するのは本当はすばらしいことだと思う。
極力、続けて頂きたい。
ちなみに阪大捏造事件に関しても自分と同様な意見をお持ちのようで、嬉しくなった。
http://mitsuhiro.exblog.jp/1929287
上記の日付当たりだ。


いずれにせよ、研究者がどういう気持ちで研究をし、社会にどう公開し、そしてどう評価されるのか
もっとオープンになるべきだと思う。国民の税金は必ずしも有効には使われていないのだ。