事業仕分けの後

事業仕分けで削減や廃止が決まったものが、その後どうなるかに注目している。
何度も表明しているが、基礎科学の予算削減は非常に憂慮されることではある。
しかい、業界内ではメーリングリストなどで様々な動きがあり、意見を様々なところに
送るように提案している。自分は今回の全体の動きに何か納得できない、違和感を
感じるのだ。


1つは何と言っても、国民の税金を使ってサイエンスをしている。その感覚がそれぞれの
人にどの程度あるのだろうかという疑問。もう一つは何故ここで今更という感覚だ。
後者について述べよう。そもそも科学技術基本法が制定されてから、国の研究予算は
大きく増えた。大学院の定員も増え、実験をする人の人数も増えた。自分の所属する
学会でも会員数や年会の出席者数が年々増加する時期があった。
学術が盛んになることは結構なことだ。しかし、それらの人員はいわゆる、期間工
同じで、期限付きの研究員やら技術員だ。あるいは初めから能力的に厳しい学生を、
その気にさせ大学院に入学させているようなものもある。
そのようなもので、人員が確保され賑やかしくなっていたわけだ。
まず、それがおかしい。学術を盛んにするなら、そんなその場しのぎのポストを
増やして対応すること自体がおかしかった。今回仕分け作業で削減を受けて、
困っているお偉方は、本来はその時、もっと安定的なサイエンティストの待遇を
要求しないといけなかったと思う。自分はすでに上に立っており、少しでも手となる
人員がほしいという気持ちから、この部分がなおざりなまますすんでしまった。


そして今回も、本来はそういう不安定なポストで成り立っている業界であり、
それ自身もっと見直しを考えなくてはいけないということを、ちゃんと言わないと
いけなかったと思う。
色々な意味で、サイエンスの世界は見直しが必要なことは事実だろう。
どうなっていくか、見守りたい。