ビタミンC

サプリメントが世の中に溢れている。その中でも良くあるのがこのビタミンC。
正式にはアスコルビン酸と言われる。
このビタミンCは動物にとっては必須な物質なのだが、マウスなどは自ら合成することが
できるので、外部から摂取する必要はない。が、我々人間はビタミンCを合成する途中の
遺伝子が機能を持たない風に変化してしまっている。もう少し専門的に言うと、我々人間は
進化の過程でビタミンCを自ら合成するより、食物から摂取した方が得という淘汰の元、
このビタミンCを合成する代謝系の遺伝子が消えつつあるのだ。こういう遺伝子をシュード
ジーン(偽遺伝子)と言う。
それでビタミンCが必須になるわけだが、ビタミンCは老化予防に効くとか、風邪の予防とか
お肌の美容に良いとか、なんだか怪しい話が多いのだ。ビタミンCが欠乏すると壊血病という
結合組織の崩壊に関連する重篤な病気になる。昔長期航海の船員の多くがこの病気にかかり
死んでいたのが、レモンを食べることでそういうことがなくなるという話は有名だ。
が、今の現代人はビタミンC不足になることなど、よほど不摂生な生活をしない限りない
のではないだろうか。そこまで、様々な飲み物や食べ物に含まれているし、食品添加物
しても使われているのだ。


こんなニュースが出ている。ビタミンCが不足すると老化が進みやすくなるそうだ。
http://www.asahi.com/life/update/0403/018.html
先に述べたマウスは自らビタミンCを合成することができるわけだが、人間と同じように
合成系の遺伝子を壊してやれば、自ら合成できなくなる。その影響を見てみると早死にする
とのことだ。問題はどの程度のビタミンC不足になるのかということだろう。
完全に欠乏させれば先の壊血病になって死ぬわけなので、壊血病の関連症状は出さずに
いわゆる老化だけを示せたのかどうかが焦点だ。記事には死因は老衰とあるがそれがどこまで
明確に示せているか。
まだ論文を見ていないから何とも言えないが、結構だれでもやりそうな研究があまり
やられていないのかなと言った印象だ。