競争入札の功罪

シンドラー社のエレベータ死亡事故。6/8に書いた内容に書いた不満に対する、報道を
やっと目にすることができた。以下の記事だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060612-00000050-jij-soci
あくまで広島市の設備に限定はされており数も決して十分とは言えないが、シンドラー社
約34%、その他のものは約8%で不具合が発生していたとのことだ。
これで、シンドラー社に特に問題があるという根拠が示されてことになる。真っ先に
こういう情報が必要なのだ。
自分は昔、名古屋市市営住宅に住んでいたのだが、そこのエレベータも頻繁に故障していた。
閉じこめられたり、急降下や急上昇も噂では耳にした。そのエレベータはフジテック
製だったのを記憶している。あまり整備環境の良くない市営住宅のエレベータなんて
こんなもんだろうと思っていたが、今回の事故でフジテックもあまり有名どころではなく、
シンドラー社ほどではないにせよ、問題があったのではないかと思っている。


さて、なぜシンドラー社に問題が生じたのか。この会社のエレベーターは安いらしい。
自分のいる研究所もそうだが、公的機関はある額以上のものを購入する時には、競争
入札にかけなければならない。良く、癒着だとか言われるが、この競争入札は実は
提示する側にとっても極めて難しいのだ。あらかじめ、自分が信頼する企業があって
綿密にこういうのがほしいという議論を深めても、値段だけで安いところに決まってしまう。
むろん、入札条件に色々細かい条件を付けるのだが、安値で提示して権利さえとって
しまえば、細かい条件は符号しなくても、ごめんなさいですませれば良い、といった
確信犯的な企業があるのだ。訴えてやろうかとも思うが、それをするにはこちらは
多大なエネルギーが必要となるため、結局公的機関側が泣き寝入りすることになるのだ。
今回の問題点はこのように入札で「安かろう悪かろう」な商品が納入されてしまった点が
あるのだろう。
さらに、シンドラー社は自社がメンテナンスをしていなかったことを原因と主張する感じだ。
これも入札でメンテナンス業者として、ちゃんとメンテナンスできるかどうかとは別に、
単に安いと言うだけで入札に勝つ業者があり、そのためにシンドラー社が入れなかった
のがあるようだ。
確実なメンテナンスを考えれば、製造業者がやるのが筋だろう。もっというなら購入
入札時に将来のメンテナンスに関する費用も含んで行われるべきだと思う。
入札制度は公平に競争の原理を取り入れ、公的機関がより安く物品を納入できるように
するためのものであるが、逆に粗悪なものを排除できないとするなら、極めて問題な
ことでもあるのだ。