アイスクリーム白書2007

5月10日に書いたアイスクリームの話。
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20070510
22日付けで日本アイスクリーム協会のWEBサイトにアイスクリーム白書2007が
公開されている。
http://www.icecream.or.jp/
http://www.icecream.or.jp/data/hakusho01.html
10日に書いた「アイスクリームは太りにくい」というネタの検証なのだが、
まあ、こんなものはアイスクリームを製造販売する連中の宣伝のようなもので、
何も目くじらを立てるものではないものだということは分かっているつもりだ。
が、やはりちゃんと「科学」の視点から正しいか間違っているか、明らかにしたいのだ。
これはサイエンティストの止めろと言われても止められない、譲れない所だ。


さて、「アイスクリームは太りにくい」問題の記述はここなのだが、
http://www.icecream.or.jp/data/hakusho13.html
これに関わる要点は以下の2点。
1点目は食後に血糖値が大きく上昇し、インスリンの分泌が高くなると、体脂肪になる
率が大きくなる。という事実があるらしく、実験結果(早稲田大学スポーツ科学学術院の
鈴木正成教授)でアイスクリームの食後の血糖上昇反応は小さいことを示し、
→結論として、吸収された脂肪は体脂肪にはならず、エネルギーとして分解されやすいとのこと。
2つはアイスクリームは冷たいので体温を戻すために熱消費が大きくなる。よって
差し引きのカロリーは記載のカロリーより小さくなるということ。
それぞれ、その程度がどのくらいかが重要なポイントなのだが、それに関する記述は全くない。
アイスクリームで冷えた体温を戻すのに必要なカロリーなんて、ごくわずかで1%にも
満たないと思うが・・・
(1リットルの水を1℃上げるのに必要な熱量が1kカロリー、アイスクリームは
1つ350kカロリーくらい)。


そして突っ込みを入れたいのは、この鈴木正成教授のデータ。まさかこの人がWEBサイトに
ある図を書いたとは思わないが、食事直後(0分)の血糖値が0mg/dlとして線をつないである。
0分には食事の影響を受けていない、対照となるデータが示される非常に重要なポイントだ。
そのデータを示していないばかりか、そこを0として平然と図を書いている。
こんなアホな図を書いている時点で、このデータに全く信憑性を感じない。
パン・バナナ・アイスクリームの実験被験者が何人なのかも全く書いてないし、
どうやら(恣意的に)食事直前に血糖値が揃っていない人を用いているのではないかと疑わさせる。
さらに問題は、一般に正常な人の空腹時の血糖値は80mg/dlくらい。
このデータの50mg/dlだと明らかに低血糖で異常だろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8E%E8%A1%80%E7%B3%96
よってアイスクリーム摂取集団(集団かどうかも分からないが)のデータの元々の数値が、
別な理由で低かったと考えるべきだろう。
スポーツ科学の分野の教授とあるが医師ではないのだろう。それ以前にこの人は
サイエンティストなのだろうか。スポーツ好きで体育の先生の延長線上のような人なのかも知れない。
こんなデータを到底そのまま鵜呑みにはできない。結論はどうなのか分からないが、
もっと納得できるデータを出して貰いたいものだ。