研究費の審査−特に大型予算

先日、最後に少し書いたグローバルCOEの採択結果について。
採択は28大学63件だが、その内訳は、
阪大7件、東大6件、京大6件、東北大5件、名大3件、北大3件、九大2件。
これら旧帝大で合計32で半分以上を占める。
これに加え、複数採択されている大学は東工大5件、慶応大3件、早稲田大4件、
立命館大2件とここまでで合計46件となる。残りの牌を17大学が得たということだ。
中部地区では信州大、豊橋技科大、静岡県大は採択されたものの、相変わらず負け組大学
と称される、三重大、岐阜大は選考の途中過程であるヒアリングにも残っていない。
私学はいうまでもない。


そもそもこのグローバルCOE。「大学間の競い合いがより活発に行われることが重要」
と考えている。すでに施設・設備・研究費面・また優秀な学生人材という点でも、
到底公平な競争が行われている状況でない中での「競争」はまさに、現在の格差社会
構図そのものだと言える。


大型研究予算のあり方は難しい。このグローバルCOEも大学の学部(研究科)単位で、
申請するわけだが、その中で目的が一枚岩になっているわけでないだろう。
書類上は書いたが、実際そんなことはやるつもりなどない人や、やりたくないのに
申請書類には書いたというのもたくさんあるのだろう。年平均2.6億円で、
各研究室には1千万から2,3千万くらい分配されることになるのだろうか。
これが5年なのだから大きなお金だ。これで期限付きの研究員や学生の奨学金
払えるらしい。グローバルCOEに通った大学と通らなかった大学の格差はますます
大きくなる。
初めからそれを狙っているのだから、とくとその行き着く先を見届けたいと思う。


前回の文章に対するコメントでご指摘されているように、大阪大学の生命機能研究科。
去年捏造事件を引き起こし、助手が自殺までしてしまった所だ。
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20060908
本来こういう問題を起こしたところは、せめて次年度公募の予算枠では不採択に
されるべきものだと思うし、申請さえ遠慮しても良いのではないかと思うのだが、
そういう奥ゆかしい生き方をしていては競争社会では到底生き残っていけないと言える。
ますます、大学というものがギスギスしたものになっていくのではないだろうか。


役人の考える科学行政は本当に先見性のないものが多い。現在の公的な研究費の配分の
あり方が後になって、良くない政策だったということにならないように考えてもらいたいものだ。