事業仕分け

来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」。
関係の機関のお偉方はびくびくしているのだろうか。
今日のニュースの中でちょっと呆れたのは、これ。
http://www.asahi.com/politics/update/1113/TKY200911130175.html
理化学研究所が開発を進める次世代スパコンは、世界最高レベルの演算性能を目標に
12年度の完成を目指し、神戸市のポートアイランドで建屋の建設が始まっている。
ということなのだが、これについて見送りの対象だとか。
仕分け人が言う「国民の目線で言うと世界一にこだわる必要があるのか」と言う言葉だ。
これは一体どういうことなのか、非常に問題を感じる。
まず国民目線でこのような考えが本当に一般的かどうか。
そして基礎研究の世界で、「世界一」「世界で初めて」「最先端」にこだわらず、
何に価値があるというのか。
削減するなら、やれば当然の結果が出るというような方の研究だろう。
これはサイエンスの意味を全く取り違えた人間の判断だと感じる。関係学会は、
この点はっきり非難を示すべきだろう。


しかし、一方理化学研究所は近年、ちょっと無茶苦茶なことをしすぎた。
官僚と結託して大型のプロジェクトをどんどん起こす。国には多くの研究機関があり、
それぞれの目的を持っている。自分が身近で知っているのは、何年か前に、理化学研究所
植物科学研究センターなるものを作った。植物の生産性を前面に出す研究を目的に
上げているが、農業生産に関する役目は農水省の研究所の仕事だ。
これに関わる研究所はすでにある。
理化学研究所の方は、基礎科学としての植物科学を中心に扱うという目的なら良い。
しかし、実際はここも環境問題や食糧問題など、本来農水省の領域に踏み込んだ
目的で金を集めている。
興味は基礎研究なのに、金取り目的に応用を持ち出しているのだ。
こうなると、農水省の研究所と理研のこのセンターは重複する研究ということに
なるので、どちらかが無駄と判断されうるのだ。
一般的に、農水省の研究所は全体的にレベルが低いと感じる。イネゲノムも農水省
やらせなければ、もっともっと成果が出ていただろう。
その部分を厳密に査定して、改革していくのが本来の方向性であるはずだ。
こんな感じで、類似の組織をたくさん作っていたら、結局どこかで縮小という目に
合うのは当然だろう。国の研究機関や大学はもっと、役割分担を明確にさせる必要が
あると考える。