わたり

地方公務員に実際の役職よりも高い給料を支払う「わたり」が全国219の自治体で
行われていたことが、28日に発表された総務省の初の実態調査で明らかになった。
とのことだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091228-OYT1T01050.htm
こういうのを「わたり」と呼ぶとは知らなかった。
この記事を読んだ人は地方公務員はけしからんとなるわけだろうが、実はこれは非常に
おかしい話だと思う。
本来、国、地方ともに公務員の給料は民間準拠だ。人事院の調査で、同年齢・同職歴・
同学歴の人の平均を出して、その給料と同じくらいになるように調整されている。


そこで実際そういう同じ条件の人と比べて、地方公務員はどうなのかが論点となる。
もし、「わたり」によって、本来貰うべき給与より多く貰っているとすれば、問題だろう。
逆に、「わたり」が日常的に行われて、やっと民間準拠になるのであれば、これは
俸給表そのものに問題があるわけで、その改訂が先に行われるべきだ。


また、公務員の採用は退職者の発生数と連動して行うために、世代による偏りが激しい
場合がある。同世代に大人数が集中した場合、当然本来のポストが不足するわけで、
「わたり」を行わなかったら、本人の職務に問題がなくても、昇進せず、民間準拠に
守られない、低賃金を被ることになる。これは本人の問題ではなく、役所全体の問題だろう。
この問題に関しては、十分な調査や制度改革が必要だろう。天下りの問題もある意味同様だ。
ピラミッド型の組織で、その頂点から漏れ落ちた人材の行き場というのが、天下りだった。
天下りはよろしくないのは事実だと思うが、今まで天下っていた人は、今度どういう
人員配置をするのか、その部分の議論なく、話を進められる問題ではないだろう。