科学的根拠

自分はサイエンティストの端くれだが、サイエンティストをやっていると
たびたび科学的に根拠のないことに、世の中の人が盛り上がって納得できない
気持ちになる時がある。
最近では血液型性格分析だの、占いだの、スピリチュアルなんたらとか・・・
むろん、世の中すべてがサイエンスで説明出来ているわけではないのは
分かっているつもりだ。
超常現象などまだサイエンスで解明できないことがあるのも事実だろう。
しかしながら、これら非科学的なことをそのまま信じ、
そこで思考が停止してしまっている人々を見ると、おいおいとつっこみを
入れずにはいられないのだ。


今日、こんな記事が出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050124-00000014-mai-soci
ロトは日本にもあると思うが、2桁の数字をいくつか選び、
当選番号と一致すると「当たり」というわけだ。
この当選番号は完全にランダムに決まるので、例えば00−99までなら、
いつどんな時も個々の数値が出る確率は言うまでもなく、
すべて1/100である。
記事にあるように53が最近出ていないからといって、
次に53が出る確率が高まるわけでもない。
にも関わらず、こんなことで破産したり自殺したりするというのは、
よほどの無知か、正常な思考が出来なくなっている、
「中毒者」ということになるのだろう。


別の話だが、よくプロ野球で打率3割の打者が3打数0安打で、
4打席目に入る時、解説者が「3割打者だから次は安打を打つ
可能性が高いです」ということがある。
これも基本的には正しくない。
しかし、この場合、先のロトとは異なっている。
安打と凡打はランダムに決まるものではないからだ。
実際のデータがどうなのかは知らないが、打率3割の好打者が
その日、3度凡打で失敗しているなら、その経験を生かし、
4打席目では失敗しない可能性が高くなることは十分ありうる。
特に投手が交代していなければ、慣れる能力も好打者ほどあるだろう。


この2つの違いが分からない人が結構いるようだ。