心神喪失者の犯罪

犯罪ネタが続くが、今日こんなニュースが出ている。
http://www.asahi.com/national/update/0209/024.html
居眠り運転で重傷事故を起こした被告が、睡眠時無呼吸症を理由に無罪となった。
睡眠時無呼吸症とは睡眠中に、のどなどの筋肉が垂れ下がって気道が狭まり、
無呼吸状態を繰り返す症状で、これにより熟睡できず昼間に眠気に襲われるわけだ。


この事件に限らず、いわゆる心神喪失者が事件を起こしたときに、その時心神喪失状態なら
刑事責任を負わされない。
刑法39条1項の規定「心神喪失者の行為は、罰しない。」によるものであるようだ。
自分は法律には詳しくないので、なぜこういった規定が生まれたかは知らない。
法解釈として本人が犯罪行為としての自覚がないので、犯罪には問えないとのことだろう。
幼児が犯罪を起こすのと同じようなことと考えれば良いのであろう。


心神喪失状態は精神障害者てんかん患者も考えられるわけだが、自分はこの法的
解釈を納得できない。
本人の過失・責任とは別に、起きた事象が他者に精神的身体的不自由を負わせたのなら、
それはやはりペナルティを負わされるべきではないかと思う。
そもそもこの事件の場合、通常熟睡できないことと居眠りの因果関係が明確に証明できる
わけでもない。だれでも昼間に眠いことはあると思うが、そこで寝てしまうか我慢できる
かを定量的に証明することは不可能だ。
今回は疑わしきは罰せずと言うことだろうが、この判断は明らかに違和感を感じる。


こういう判決はいわゆる心身障害者は危険で近づかないように、といった
悪い偏見をかえって助長する。
睡眠時無呼吸症であっても、てんかんであっても、精神病であっても、事件・事故を
起こす人間はその中のほんの一部なのだ。それ以外の他の多くの人々は薬物療法などを
含め、他の人とほとんど変わりない生活をしているのが普通なのだ。


法律はなかなか変わっていくものではないが、この項目の見直しは是非検討すべきで
あると考えている。