今週、妻が浮気します

中央公論新社から出た話題の書籍「今週、妻が浮気します」を、買って早速読んでみた。
ISBN:412003609X
電車男ISBN:4104715018 の2匹目のドジョウを狙ったのだろうが、感想としては「面白くなかった」だ。


電車男」は主人公のオタク系の青年が電車内で痴漢から女性を守ろうとするところから
出会いが始まり、どうやって交際をスタートさせていったらよいか相談することから始まる。
その中でネット上の受け答えなので当然、意味のないレスや誹謗中傷もあるのだろうが、
本ではそういったものは除去され、主人公の悩みにネット上の仲間が一丸となって、
相談に乗っている状況は面白いと思えたのだろうし、感動を覚える人もいる理由だと考える。


が、この「今週、妻が浮気します」は全く逆なのだ。主人公の始めの質問が
今週、妻が浮気します、どうしたらよいでしょうであって、どうしたいのか書いてない。
最終的にこの主人公がどうしたいのかが不明瞭なまま話が進んでしまうのだ。
電車男」のように恋愛のスタートは共通的な進め方があるだろう。
まず始めにお茶でもしろ、飯でも食え、映画でも誘えと、常識的な応答が繰り返される。
が、この本のように別れ話、特に今回の件のように浮気による別れ話の場合、
そんな女とは別れるべきだという意見から、相手の反省度合いをじっくり見定めろ、
子供のことを考え極力別れるべきでない等々、様々な意見が続々と繰り広げられる。
読んでいて苛立ちまで感じてきたのは、これらの色々な意見に対して、主人公が必ず
お礼のレスを入れているのだ。言葉でのお礼は礼儀として良い。
問題はレスの意見のすべてに肯定的に反応しているのだ。これでは主人公の考えが
読み取れない。

本来なら、当然主人公がこうしたいというのがあって、それに合う意見を取り入れていく
ことで、相談内容がステップアップするのだが、いつまで経っても主人公がどうしたいのか
見えなかった。
読んでない人もいるだろうから結論のネタバレはしないが、自分はことの結論に対して
「なんじゃそれ」と思ってしまった。
途中までの相談内容とか本人が言っている意見と全然一致していないように思えた。


ただ単にネット上にあった盛り上がった掲示板の内容をそのまま本にしてみたと言う感じで、
この本が主張するものが何か全く分からない。物語として考えてみても、納得出来る展開が感じられなく思えた。