ウイルスバスターウイルスと電車脱線事故

2つの大きな事件があった。
トレンドマイクロ社のアンチウイルスソフトウイルスバスター」の更新パターンファイル
に不具合があったまま配布されてしまったことと、JR西日本宝塚線福知山線)で
起きた快速電車の脱線事故だ。


いずれも本来されるべき作業を怠ったのが主因であるようだ。
日常の作業の中でだんだん方法が簡略化され、それがある時、大きな問題を引き起こすことは
結構日常でもあることだが、今回の2事件はいずれもその影響が極めて大きく、こういった
トラブルを引き起こした2社が今後どういう社会的制裁を受け、どう対処するのか注目して
いきたい。


今回の2事件に対する自分の感想としては、どちらも最終的なチェックを手動に頼って
いたというのが驚きだ。


例えばウイルスバスターの場合、新しく出来たパターンファイルを自社のテストネットワーク上に
アップロードする。何台かシステム環境の異なるテスト機がそのアップデータを行い、
次にテストプログラムで様々な基本動作に不具合が生じないかテストする。
今回のケースはマシンがハングアップするように重くなる症状なので、極々簡単なテスト
プログラムでも簡単に分かりそうだ。極端な話PINGバケットの送受信速度のチェック
だけで不具合は発見できただろう。
こんな基本的な作業が、自動化がなされていなかったというのは驚きだ。


JRの電車脱線事故も自分は一部ローカル線を除いて、電車の運転なんて自動制御可能な
状況になっているものだろうと思っていた。運転手なんてあくまでブレーキを柔らかく
かけるのと、非常時の対応用に必要なだけで、何もしなくても自動的に運行自体は
出来る物だと思っていた。
そして中央管理センターなるところで、どの電車が何キロでどこを走っているのかも
もちろん把握されているものだと思っていた。
しかし、実際は山手線など極限られた路線でのみこのようなシステム(ATC)が
あるだけで多くは制限速度以上出すとスピードが減速される程度のものだったり、
福知山線の場合は最も古典的なシステムで、結局のところ制限時速70kmを遙かに超える
100Kmで走っていても、何の制御もされないものだったのだ。
トレインシュミレータゲーム「電車でGO」なら速度オーバーでゲームオーバーになる
状況でも、実際の電車では問題なく運転が継続されるものだったのだ。
これは驚きだ。


人間がやることには必ずミスがあるものだと自分は思っている。機械を過信するのも問題
ではあるが、基本的に機械ができることは極力機械にやらせて、人間はそれを総括する
ようなシステム構築を急ぐべきだろう。
最終的に死者は100人を超える、大事故となるだろうがこの教訓を生かして安全対策を
講じてもらいたい。


それからもう1つ。自分はこれまでも電車に乗る時は先頭車両には乗らないようにしている。
今回の事故もそうだが、衝突事後を起こした時には先頭車両と2両目は極めて危険だ。
言うまでもなく先頭車両は衝突の衝撃をまともに受ける。2両目は先頭車量の受けた力の
逆方向の力を受ける。この時多くは上か下方向へ力が逃げる事になるので(今回は上方向)、
3両目以降の力学的エネルギーは大幅に減少しており、比較的軽い被害となる。
衝突事故なんて、踏切でトラックとかが立ち往生しただけでも起こりうるわけで、
これも4/12のブログに書いた身を守る教養の1つかなと感じている。
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20050412
先頭車両に乗る時はそのリスクを頭の片隅に置いておいて良いだろう。