医療コーディネータ

自分が病気になって入院手術が必要と分かった時、さてどうしたものかと色々考えさせられた。
自分のことに限らず、知り合いが病気になったのを見ていて、治療を受けている中でも、
その病院の評判はどうなの?
その診察は正しいの?
その治療法はベストなの?
という点が結構気になるところだ。

自分の場合、始めに行った開業医に対し早々と見切りを付け、市民病院に行った。
どうせ、それなりの検査をしないと納得できないだろうし、検査できる設備が無い病院に
かかっても出来ることは限られているわけだ。
むろん薬で簡単に治ってしまう病状なら、それでも問題がないのだが、そうではなかったので。


ところが市民病院でまず迷うのが、何科で見て貰うかだ。
結果論から言って自分の場合、この選択が間違っていたために2−3週無駄な時間を過ごした。
決めたのは自分だが、もう少し窓口で相談した方が良かったのか。
しかし、窓口には事務員と看護師しかいないのだが・・・


3度目(3週目)の診察でやっと原因が判明し、他科への受診に回された結果、
入院手術が必要となったわけだ。


さて、そこからがまた難しいところだ。
どういう手術か簡単に医者から説明を受ける。で、この病院で手術するかと聞かれる。
緊急性を要する手術でもないので、ちょっと勉強してきます。
と答え、1週間後に返事をすることにした。
そこからがネット上での勉強だ。
自分の病気、手術の方法。知れば知るほど疑問が生まれる。
最近は規制緩和で病院が手術成果や実施例などを公表出来るようになったが、すべての
病院が公表してくれなければ、比較しようがない。
私立の病院で良いことずくめで書いてあっても、信用して良いのか分からない。
手術の手法も千差万別、入院期間も千差万別。最新の方法。一般的な方法。と様々出てくる。
で、結局どこにするか考えた時、病院を変わるとなると、またその病院で診察しなくては
いけないことになる。結構大変だ。
結局自分は、次の週この病院でお願いしますとなるが、一般的な方法で入院期間もちょっと長い。
本当にここがベストなのか必ずしも納得はできてなかったのだ。


今回の自分の病気は大した物ではないので、この程度の感覚だった。
しかし仮にステージ2の胃ガンとかだったら、医師の腕や病院の設備によって5年生存率と
かも大きく変わってくるだろう。しかもぐずぐずと考えている間にも病気は進行するのだ。
公立病院は公平な医療を提供する義務があると思うが、私立なら当然、治療手法も金しだい
となるのは致し方ないし、当たり前のこととも言えるだろう。
そういった中で、患者が納得できる医療情報を自分一人(あるいは家族を含め)で得るのは
かなり難しいのではないかと思う。


そこで自分が必要性を感じたのが表題の医療コーディネータだ。
移植コーディネータというのはある。臓器移植のドナーとレシピエントと医師を中立的な
立場からつなげる専門職だ。
臓器移植に限らず、医療全般にこのコーディネータの存在があると、医師のレベルアップ、
患者の理解・納得いずれにおいてもメリットがあるのではないかと思っている。


具体的には症状に対する、客観的な意見とそれぞれの病院の方針・得意分野の情報提供だ。
さらに検査結果は医療コーディネータも保持することができ、医療コーディネータに病院
探しをしてもらうことも可能。
コーディネータの技量や医療費への上乗せなど様々な問題もあるだろうが、そういうものが
利用できるという選択肢が増えることは良いことだと思う。
むろん、始めはこんな制度を利用できるのは一部の金持ちだけだろう。
それでも医療の選択幅が広がり、患者が自分に適した方法を選ぶことが出来るという点で、
このようなシステムの導入が必要ではないかと思っている。


患者は医者に対して立場が弱い。こんなこと聞くこと出来ないなと思う疑問は多々あるだろう。
先に述べた、この症状で何科に見て貰うのが良いかという疑問も誰に聞くのが良いか難しい。
そういった点をフォローするような立場としても、この医療コーディネータは有用である
と思っている。
現在このようなシステムは自分の知る範囲ないようだし、現在の法律ではそういう仕事を
おこなうこともできないのだろう。
今後、厚生労働省などがこういった問題点に対し、検討していくことを期待したい。