科学技術に関する特別世論調査

内閣府は9日、「科学技術に関する特別世論調査」の概要を公表した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/news/20050610k0000m010128000c.html
まだ、内閣府のWEBサイトにはなんの情報も出てないようなので、詳しい意見が書けないが、
この表題の「関心は「原理」より「利益還元」」というのは、何もないところから、
金を作るような錬金術的な意見だと感じる。
原理の解明なくして、応用の発展はあり得ないというのが、自分の基本的な考え方だ。


むろん、薬学のように下手な鉄砲を数撃ちまくって、偶然有効な物質が薬として開発される
世界があることは分かっているし、それによって我々は大きな利益を得ているのも事実だ。
しかしながら、このような手法はいずれ壁にぶち当たり、それより先に進めなくなると思っている。
薬学の場合、化学合成法の改善や分子生物学的解析法など、基礎化学や基礎生物学の発展に
よって、そもそものスクリーニング速度が速くなっていることが、まだ壁にはぶち当たらない
理由だと思っている。
しかし、売れない薬は開発しないという姿勢がなくならない限り、万人を対象にする
オーダメイド医療はまだまだ遠いだろう。スクリーニング的手法ではコストがかかりすぎるのだ。
分子標的と薬理作用の基礎解明がされればされるほど、これらは理論的に予想された
ところからスタートできる。理論計算はソフトウェア化が可能であろうから、コストが
大きく下げられることが期待できる。


もっと原理そのものの解明に価値を感じる人が増え、興味を示す子供が育成されないと、
日本における科学技術の将来は暗いと感じる。