ハゲ関連遺伝子

ハゲに関連した2つのニュースが出ている。


ライオンが発表した女性の薄毛の仕組みに関しての一因を解明したとのニュース。
http://www.asahi.com/life/update/0613/006.html
女性ホルモンのエストロゲンが、発毛を促すたんぱく質BMPを増加させるとのことだ。
BMPが何であるか自分は分野外なので全然知らないが、調べると骨形成タンパク質とのことだ。
女性の薄毛の原因の一端だとは思うが、具体的なメカニズムの解明が待たれるところだ。
エストロゲン→BMP増加、BMP→発毛促進とそんな単純ではないとは思う。
間に入る数多くの役者(様々な物質)を明らかにすることが重要なのだ。


もう1つは、ドイツの研究グループの母方から遺伝するハゲ遺伝子候補の話だ。http://www.asahi.com/life/update/0613/002.html
X染色体にある男性ホルモン(アンドロゲン)の受容体遺伝子の変異がハゲの原因の1つでは
ないかとのことだ。
男性のX染色体は母親から受け継ぎ、その母親のX染色体の1つは必ずその父親から受け
継いでいるため、母方の祖父がハゲていれば、自分もハゲる可能性があるということだ。
正確には母方の祖父が持つ変異を受け継ぐ可能性は50%ということになる。
むろん、このアンドロゲン受容体の変異によるハゲの場合のみの話であって、すべての
ハゲに言えることではない。


この研究チームはなかなか良心的である。
「ほかにもハゲの原因遺伝子があると思われるので、一概には言い切れない」。
「遺伝子変異のため頭皮でアンドロゲンの働きが強まって、髪の毛が抜けやすくなるのでは
ないか」。
研究者によってはその後の研究費取得のため、現象のごく一部を解明したに過ぎないのに、
いかにもすべてを解明したかのごとく、記者会見するものがいる。
今回の場合なら、 このアンドロゲン受容体の変異によるハゲの場合のみの話なのに、
「すべてのハゲの原因が解明できる道筋が整ったとか」、受容体変異がなぜハゲに結びつくのかは、
まだ推定の域を出ないにもかかわらず、「これでハゲの治療に光明を見いだした」とか、
飛躍した調子の良いことを平然と言ってのけるのだ。


一般人が客観的な科学的思考を身につけたり、あるいは少なくともサイエンス担当の
記者が一般科学知識の幅広い持った世の中になってくれば、こういったサイエンティストの
「はったり」を見逃すことはなくなるだろう。
研究成果の客観的評価にはこういったことも重要なのだと思う。