続・捏造問題

ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授の論文捏造(ねつぞう)問題で、ソウル大の調査
委員会は6日、最終的な調査結果報告を10日午前に発表すると明らかにしたとのことだ。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200601060239.html
結局、2株あるとされたクローン胚は偽物だったということで、論文そのものが全くの物語
であったということになった。サイエンティストとしての自分が最後の砦と考えているのは、
実際の技術力はどうなのかという点だけだ。一般に手を動かしているのはファン・ウソク
教授ではないはずだろうし、ここからは実際に仕事に関わった人の聴取が必要だろうと
考えている。目上の人には逆らえない儒教思想の韓国でも、ここまで問題が露呈したなら、
部下の人からも様々な聴取が得られるであろう。


しかし今回の件は生命科学分野において、韓国内のみならず大きな汚点を残したと思っている。
11/16にこの分野の研究は再生医療にとって、極めて重要な基礎研究分野であると書いた。
http://d.hatena.ne.jp/cell2005/20051106
一方、クローン人間の作成をも可能になるとの観点から、倫理的にも進めるべきではない
との意見がある。韓国はこういった議論が極めて少なく、研究がしやすい国であったのだ。
捏造の件も含め、ファン・ウソク教授は研究員の女性に卵子提供を求めたり、極めて問題な
ことをやっている。
こうなると、結局、そういった研究そのものを進めていける土壌がなくなってしまい、
研究が進まなくなるのだ。
今回の件は完全な捏造ということになったが、目的そのものはいずれ達成できることで
あることは間違いない。そしてそれが達成できれば再生医療にとって大きなメリットがある。
だからサイエンティストはより一層、こういった研究の重要性が世間全般に認められる
努力しなくてはならないのだ。


東京大学多比良和誠教授の研究室の論文データ捏造事件。
始めから分かっていることだが、論文内容を保証する資料を、大学側が設定した期限までに、
提出できそうにないようだ。再現実験がうまくいかないということだろう。
元々やってないのなら、当たり前というところか。処分を検討するということだ。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051229i514.htm
東京大学が今回の問題をどの程度の重要性と考えているか、処分や対策の明文化で示される
ものと注目している。個人的な予想としては、張本人の助手は懲戒免職、多比良和誠教授は
管理責任等も含め、停職6ヶ月くらいだろうか。もっと軽い処分だったら、それこそ日本の
将来のサイエンスがとても心配になる。