大阪大学医学部のデータ捏造事件の処分

大阪大大学院医学系研究科などの論文データ捏造問題で、論文の第一筆者の医学部学生
への指導・監督が不十分だったとして論文責任者の下村伊一郎教授を停職14日、
共同執筆者の竹田潤二教授を同1か月、学生を直接指導していた特任研究員を戒告とする
懲戒処分を発表したとのことだ。


とりあえず、処分は出たと言うことだが、どういう経緯なのかこの記事では何も分からない。
停職の理由も学生への指導・監督が不十分という「間接的」な理由だ。以前も書いたが、
論文の責任著者になっている時点で、こんな「間接的」な責任しか負わないなどという
考え方はほとんどの人が受け入れられないだろうし、100人のサイエンティストに聞いても
ほとんどの人が、おかしいと答えるだろう。
昨年5月に設置された調査委員会の報告を元に、両教授に対し停職3か月の懲戒処分として
話が進められていたようだ。2人は処分とされるほどの責任はないと主張したため、
大学が不服審査委員会を設けて審査し、今回の処分になった。とのことだ。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060216p101.htm


この事件はさらに色々追跡していかないといけないもののように思える。何が問題だったのが、
両教授の責任がなぜこうも軽く見なされたのか。医学部なら理工農学系と比べても、はるかに
教授の権限は大きいだろう。下にいる人は教授に逆らえない風潮はより強いだろうし、
実力がなくても教授にゴマを擦って点を稼ぐ人間もいるだろう。だからこそ14人もの
著者がいた「捏造論文」が世に出てしまった。そういう世界で起きた、この事件が今回の
結論のように根底がうやむやになってしまうようでは、本当に研究成果の発表などどれも
信用できなくなる。
この処分で大阪大学が自浄作用のない「ダメ大学」であることは確定したと言えよう。
一方、とりあえずの処分でこの問題はもう大阪大学だけの問題ではなくなった。
この件は日本の科学研究推進やその評価のあり方など、さらにじっくり議論しなければ
いけない、極めて大きな問題点を提示した事件だと思っている。