研究成果の客観的評価

独立行政法人化したものの、大学や国が管轄していた研究所は現在も国からの交付金
その運営の大きな柱である。工学部で企業との応用研究が盛んな分野や付属病院を持った
医学部などはそちらからもある程度資金を得ることもできるのだろうが、ほとんどの分野の
研究というのはいわゆる「金になる」ことが約束されていることなど有り得ない。
逆に言えば「金になる」ことが約束されている研究など企業がやればよいのだ。
金にならないことを国民の税金を使ってやるわけだから、当然そこには「その研究は国民の
税金を使う価値があるのか」という審査を受けなければならない。
そこで表題の研究成果や研究計画の客観的な評価が必要となるわけだ。


しかし実際はこの「評価」ほど難しい物はない。
こんな記事が出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060301-00000102-yom-soci
もっとも注目された研究者ランキング 1位は審良静男・大阪大教授(免疫学)とのことだ。
ほう、「この人が一番良い研究をやっているのかー」などと短絡的に考えてはいけない。
あくまでこれは学術文献の情報提供を行っている米国の「トムソンサイエンティフィック」
という1企業が、勝手に決めた評価システムに則って、1番になっただけのことだ。
むろん、それなりの評価はされるべきだろう、しかし、それ以上でも以下でもない。
元々この指標だと分野に偏りが生じるし、論文もいわゆる本当の論文ではなく、「総説」
を書けば、評価が上がる。むろん「総説」はそれなりに評価された人でないと普通は
書けないが。


この研究成果を評価する機関というのが日本には特にない。自分はこれが問題だと思っている。
サイエンティストの格付けをおこなっても良いと思うし、それによって研究費の配分の
参考になっても良い。沢山の格付け機関があれば、それなりに特色もでるだろうし、
偏った評価をすれば、まわりに分かるわけで、評価機関自体の評価が下がり、そういう
ところは排除される。誰がどうやって作るかが問題だが、国もそこら辺をもう少し
真剣に考えても良い頃ではないだろうかと思う。