お仕事

サイエンスに関わる仕事を進める上で、2つの大きなタイプに分かれているような気がする。
1つめのタイプは綿密な仮説を立て、仮説に基づいて実験を進め結論を固めていく。
こういうタイプの人は実験する前にすでに頭の中で論文の構想ができている。むろん、
この構想から実際の論文を書き上げるのは長い道のりではあるのだが。
もう1つ目のタイプは全く思いつき、ひらめきで実験をおこない、出てきた結果を考察して、
また思いつき、ひらめきで仕事を進めていく。こういうタイプの人は初めには論文の
構想がない。


どっちが良いのか。
すでにシナリオができているタイプの人は、そのシナリオに悪い意味において縛られ、
実験結果に示唆されていた新たな発見を見落とす可能性がある。逆にシナリオ通りの展開の
実験結果が出ると論文を書き上げるまでの時間が短い。勝負は如何に綿密なシナリオが
初めに描かれているかということと、後は実験のうまさだろう。実験が下手くそで、
実験誤差が大きいと大まかな結果はシナリオ通りなのに、シナリオ通りではないかのような
解釈も可能となり回り道することになる。
逆に思いつき、ひらめきで仕事をするタイプの人は、本人が良い仕事をしているうちは良いが、
仕事がうまくいかなくなると、なかなか大変だろう。部下としてそういうタイプの人に
付いていくのはなかなか厳しいのではないかと思うのだ。


いずれにせよ、色々なタイプの人がヘテロに混じっているからこそ良い仕事が達成できる
と思っている。切磋琢磨する中で、それぞれの人の持つ良い面が相乗的に作用するのが
最も研究室と言えるのだろう。
なかなかそういう職場にするのは難しいことなのだが。