研究者背番号制

研究者に背番号をつけ、国の研究費をいくら獲得したかがひと目でわかるデータベース
づくりに国が乗り出した、とのことだ。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200607070507.html
実のところ自分はすでにこういう、それぞれのサイエンティストがいくらお金を得て
いるか、自分なりに調べてまとめている。
そしてそれぞれのサイエンティストの研究成果と結びつければ、使っているお金と成果
の大きさを比較することができるので、研究を正当に評価するものができるのだ。


しかし、現状はサイエンティストの名前や所属で調べるしかなかった。また公表の
仕方も旧文部省系の研究費配分額は一カ所のウェブサイトでまとめられているが、
旧科技省系や他の省庁の研究費はそれぞれのプロジェクトごとバラバラに公表されて
いたり、正確な支給金額が公表されていないものもあり、片手落ちにならざるおえない
感があった。
背番号制によって漏れなく、こういうことがよりやりやすくなり、自分としてもとても
このデータベースの公開を楽しみにしている。当然、マスコミもこういう情報をまとめて、
税金が適正に能力あるサイエンティストに配分されているか、判断できるようになる
ことを期待している。


次の課題は得た研究資金に対する、研究成果との情報リンクだろう。これはなかなか難しい。
単に論文・学会発表・研究会のオーガナイズなどの数や質を含めて、リストアップ
することは簡単だ。しかし研究の評価はそれだけではない。


またこの記事にはこういう背番号制にする動機は、一部の研究者への過度の集中や
重複を防ぎ、研究費を有効活用するため。とのことだ。
これは各省庁が縦割りで仕事をやってきた弊害だ。すでに大型予算が配分されている
サイエンティストは、当然そのプロジェクトの成果が出始めているわけだ。
そこへ次年度とかに別の省庁が大型予算を付ける。サイエンティストは書類上の2つの
プロジェクトを区別して仕事をするわけではないし、そんなことをしても有害無意である。
結局、表向けには業績の2重登録という形で、そのサイエンティストがやった仕事の成果は
2つの省庁の業績になるのだ。
これはやはり一般的に考えればおかしいだろう。こういった大型研究費の2重投下は
確かに問題があるし、なくすべきだろうとも思う。
しかし逆に本当に良い仕事をできている人にはここぞという重点配分があるべきとも
思うのだ。ようはトータルの額がそのサイエンティストがやれる範囲にあるかどうかだ。


今の自分のラボも多重投下を受けているわけだが、研究室全体がそれぞれのプロジェクトを
適切に遂行する力を持ち合わせているかどうか。こういうのも正当にどう評価するのか
難しい問題だ。