再審の取り消し

名張毒ぶどう酒事件の再審の取り消し。
長い時間の中で、再審したところで新たな証拠を得ることができるわけではなく、
再審=無罪というわけなのだから、この裁判所の判断は今となっては一番ありうる
判断だったと思う。妥当と言って良いのかは分からない。
王冠の形、毒物に含まれる不純物、科学的な視点から見れば、犯行証拠に対する
矛盾点はいくらでも出てくる。ではえん罪なのかと言われれば、そんなことは誰にも
分からない。門野博裁判長の「弁護側の新証拠は、無罪であることが明らかな証拠とは
言えない」との指摘は当たり前のことだ。
疑わしきは罰せずなら、当然無罪ということになるべきなのだろう。しかし、本当に
やったかどうかは別の問題だ。支援者も相当いるようだし、ネット上でもえん罪を
はらすという観点のサイトがいくつもある。
しかし、やったかどうかは本人(えん罪なら真犯人も)しか知らないわけで、
自分なら到底支援を考える気にはならない。
何年か前に痴漢えん罪の会か何かで中心的な活動をしていた人が、結局再度痴漢で
捕まった。支援していた人々はどんな気持ちだったろうか。
元、野村総研の植草氏も同様だ。


今となれば検察の証拠は不十分で、自白の信頼性は乏しいのは事実だ。しかし、再審と
いうのは本当に例外的な処置で、頻繁にあるべきものでない。死刑執行阻止に再審請求が
利用される懸念もある。


一度自白したという事実は本当に重い。
検察側は刑事事件に対し、証拠固めに慎重を期するすることを、今後も最重要視しないといけない。