あるある大辞典の捏造

最近、スーパで納豆を売っているのを見たことがない。テレビ番組で納豆が紹介され
消費者が殺到しているためらしい、という話を職場で聞いたのだが。
で、その番組はというと、自分の中で全く評価していない「発掘!あるある大事典」と
いうフジテレビの番組。フジテレビなどお笑いの側面だけから、娯楽番組をやって
いれば良いものを、こういう「科学」を扱おうとするからロクなことにならない。
いわゆる「エセ科学」というやつだ。


それで、以前から批判はあるし、もっと批判が大きくなることを期待しているのだが、
この納豆に関する内容に捏造があったとのことだ。これは全くの捏造で、とんでもない
と思うし、これで番組自体打ち切りにして当然のものだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070120-00000053-mai-soci
http://www.ktv.co.jp/070120.html


しかし、自分が憂慮する問題はそこではなく、なぜ番組のこんなアホらしい情報で
スーパーの納豆がなくなったりするのかということだ。サイエンティストの端くれと
して痛感するのは、社会全体に自然科学の情報の正確さや、実験科学というものの
意味合いが全然理解されていないと痛感するのだ。
義務教育で理科の授業は国民全員受けているわけだし、高校や大学に行けば、
「生物」の授業を受けるチャンスもあるだろう。女子なら文系で履修する理科は
「生物」が中心になるだろうし、それなりに学生時代に学ぶチャンスがあるはずだ。
が、結局のところ知識の詰め込みでしかないのだろうか、根本的な実験結果が意味する
ところを客観的に評価する能力が養われていないのだ。その結果がこの納豆品切れなのだろう。
これは日本の文部科学行政がゆとり教育うんぬん以前に、大きな失政があったと思っている。


統計学的な意味のない値や平均で議論はおろか結論付けてしまうこと。ある考えに
都合の良いデータだけを評価し、都合の悪いデータがそれより遙かに多い量あることを
示さないこと。いずれも、捏造とは言わないことだが、サイエンスというものを
突き詰めると、意味することは捏造と同じだ。番組を見て、このデータはおかしい・
この結論づけはおかしいと思う人はどのくらいいたのだろう。
こんな番組そのものが、存在している状況そのものが非常に憂慮されることである。


NHKの「裸問題」でNHKに文句を言ったクレーマーたちは、この番組には文句を
言わなかったのだろうか。