ゆとり教育の見直し

文部科学省がいわゆる、ゆとり教育を見直す方向に入ったと言う話。
ゆとり教育による授業時間の短縮が、学力の低下につながったということで慌てている
のだろうが、やっていることが極めておかしい。
この学力低下というものを何を基準にそう結論づけたかである。詰め込み型の教育を
「ゆとり」を持たせるために軽減させれば、当然知識ベースで点数化する評価を
おこなえば、ポイントが低下するのは当然だ。
そもそもゆとり教育は詰め込み型の教育を軽減して、地域社会とのつながり、家族の
つながりを重視し、人として生きる知恵や充足感を高められる人を育てる教育だったはずだ。
その教育方針の成果を評価するのに、今までどおりの知識ベースでの問題や、
漢字が書けるかとか、計算ができるか等の方法で試験をやっていたら、当然それらの
点は下がるに決まっているだろう。そうではなく、ゆとり教育で得られたものをどう
評価するかが問題点なのだ。
結局、「ゆとり教育」を進めた文部科学省がこの「ゆとり教育」の成果がどういう形
として得られるのが望ましいのか、初めに考えてなかったのではないかと感じる。


あるいは、単に文部科学省の中にも「ゆとり派」と「反ゆとり派」なるものがあり、
その内部争いの転換があっただけなのだろうか。
いずれにせよ、国の教育方針は今後の日本がどうなっていくかにとって極めて重要で
あることは言うまでもない。


最近、医師不足とよく言われる。医学部に入りたいけど、結局受験で受からないという
高校生はいくらでもいる。折角医者を目指そうとしていた人材が知識ベースの試験で
排除される。むろん、医師には並はずれた頭脳が必要なのは事実なのだろうが、もっと
大切なものもあるのではないだろうか。
こういう方針決めは本当に長期的視野に立ったものでないといけない。