タミフル問題

タミフルを飲んだ後の異常行動に対する、厚生労働省の方向転換。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070321-00000073-mai-soci
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0228-3.html
まあ、事例は集まれば集まるほど明確になるものであり、ある程度の異常行動例が
集まった時点で、方向転換したということで別にごく真っ当な対応だと感じる。
あるある大事典の内容を真に受けてしまう人々が、今回の件に過剰反応してしまう
ことが懸念される。
どんな薬であれ作用と副作用がある。薬を受ける側の感受性も多様であることが分かりつつある。
これが遺伝子レベルでのSNP(スニップ)から来るものであることが明確になりつつある。
ある人にはとても良い薬であっても、別の人には副作用が強すぎて使えない場合も
たくさんある。だからと言ってその薬は処方されるべきでないとなれば、当然その薬は
売れなくなり、製薬会社はさらなる向上への開発を止めるだろう。そして、その薬自体の
製造も止めてしまうかもしれない。となれば、本来その薬をとても良い薬と感じながら
飲んでいた人から、その良薬を奪うことになる。


タミフルと異常行動、またその原因となる状態など、分からないことはいっぱいある。
元々、海外の薬だし、人種によるSNPの偏りで副作用の出やすさが異なる可能性もある。
が、現時点でそのSNPも分からない。
現時点でタミフルはもっとも効果が期待される抗インフルエンザ薬だし、今後、
パンデミック(感染爆発)が予測される鳥インフルエンザに対しても効果的であることが
予測される(種間感染のキーになるのはヘマグルチニンで、一方、タミフルのターゲットは
ノイラミダーゼで別々の物質であるため、ヘマグルチニンの変異でヒトに感染するように
なっても、ノイラミダーゼが今の鳥インフルエンザのままならタミフルが効く)。


結局、薬は飲まない場合のリスクが飲んで副作用を受けるリスクを上回る場合に
飲むものだ。そういった状況を多くの国民が理解して、薬というものの意義を考えるべきだろう。
厚生労働省の対応は早くも遅くもない、良い頃合いだったのではないだろうか。
中外製薬への天下りは良いことではないが、製薬行政の難しさを感じる問題だ。